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テグスを知る |
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ビーズアクセサリー作りの必需品、テグスについて... |
■テグスのこと... | ▲ |
漢字では「天蚕糸(てんさんし/てんぐす)」と書くテグス...もともとは天蚕(てぐすさん)から取り出した天然絹糸で高価なものでしたが...今ではナイロンをはじめとする化学繊維で作られ、簡単に手に入るようになりました. 直接引っぱって伸ばした、長くて連続した継ぎ目や結び目のない一本の単繊維のことをモノフィラメント(monofilament)というのだそうですが、テグスはこのモノフィラメントのひとつで、ビーズアクセサリーで使用する場合、ナイロン製のものを指すことがほとんどです. 最近はナイロン以外の素材のものもいろいろありますが、すずらん工房で単に"テグス"と呼ぶときはナイロン製のものを指しています. *単繊維(モノフィラメント)に対して、撚りあわせた紡績糸はマルチフィラメントといいます. *釣りの世界ではテグスとは呼ばず、"ライン"と呼ぶようになりつつある...とも聞きましたが、ビーズの世界では"テグス"という呼び名が一般的ですよね. *テグスのこと、辞書には「テグスサン・カイコなどの幼虫の体内からとった絹糸腺を、酢酸につけて引き伸ばし、乾かして作った糸. 透明で、釣り糸などに用いる. 現在は、合成繊維で作った類似のものにもいう. てぐすいと. 」(大辞林第二版)とあります. |
■サイズ・規格 | ▲ |
■号数 号数はテグスの太さを表す単位(糸径)で、もともとは長さ5尺(約1.515m:1尺=約30.3cm)当たりのテグスの重さをもとにその太さを分、厘、毛といった単位として定めていたのですが、1959年より1厘(直径0.165mm)を1号、1分を10号...というようになったのだそうです. テグスは号数が上がる程、太くなります(右表参照). いろいろな太さのテグスがありますが、ビーズアクセサリーでよく使用されるのは1号〜4号でしょう. すずらん工房にいらっしゃる方が一番よく使っているのは2号でした(2002.12-2003.01のアンケート結果). BOWも2号をメインとして、作品によって号数を使い分けています. *釣り糸では号数ではなく、耐久強度を表す単位"Lb" が使われていることもあります. 号数に換算したいときは4で割る(Lb ÷ 4)と、号数が出ます. ■規格 釣用品として、テグスの号数規格は右表のように定められていますが、"標準直径"という言葉が示すように、絶対的な規格ではありません. ある号の直径は、その前後の号数の標準直径を超えなければよい、というかなり幅広い許容範囲が設けられています. |
テグスの太さの規格 社団法人日本釣用品工業会標準規格 | |
号数 | 標準直径 | |
0.1号 | 0.053mm | |
0.2号 | 0.074mm | |
0.3号 | 0.090 mm | |
0.4号 | 0.104mm | |
0.5号 | 0.117mm | |
0.6号 | 0.128mm | |
0.8号 | 0.148mm | |
1号 | 0.165mm | |
1.2号 | 0.185mm | |
1.5号 | 0.205mm | |
2号 | 0.235mm | |
2.5号 | 0.260mm | |
3号 | 0.285mm | |
3.5号 | 0.310mm | |
4号 | 0.330mm | |
5号 | 0.370mm | |
6号 | 0.405mm | |
7号 | 0.435mm | |
8号 | 0.470mm | |
10号 | 0.520mm | |
もっと太い号数の規格もありますが、 ココでは省略! |
■テグスを選ぶ... | ▲ |
■太さ ビーズアクセサリー用などとして販売されているテグスも上表にある釣り糸の規格に準じて「号数」を決めているようですが、釣り糸同様に、同じ号数のテグスであっても、メーカーなどが異なれば、テグスの太さにもかなり違いがあります. よく使う号数のテグスを2〜4種類ぐらい常備して、作品によって号数を使い分けるのもいいでしょう. たくさんテグスを通す作品や、淡水パールや天然石をたくさん使用する作品の場合に、2号でもつらい!でも1号ではちょっと細いと思われる場合には、1.5号を使ってみるのもオススメです. ■素材 テグスの素材にはナイロンの他、フロロカーボン、ポリエチレン(PE)、ホンテロンなどいろいろあります. フロロカーボンやホンテロンはナイロンより張りがあるなど、素材によって質感が異なります. 残念なことにクラフト用として販売されているテグスの多くには、釣り用のものと違って素材名が書かれていません...そのほとんどがナイロン製だとは思いますが. 短所のない完璧な素材というものは存在しません. どの素材にも長所・短所がありますが、アクセサリー作りに使用するにあたって、絶対的な短所というものもまたないと思います... 見方によって、各素材の特性が長所でもあり短所でもあるので、素材の特性を知って、作るアクセにあわせて、テグスの素材を変えてみるのもいいでしょう. また、同じ素材のテグスでも、その柔らかさ・張りなどもメーカーによってかなり違いがあります. 手芸用・クラフト用のテグスは釣り用より柔らかいものが多いようです. どんなテグスを使うかで、作品の仕上がりにも違いが出てきますので、自分好みのテグスに出会えるといいですね! ■カラー 透明のテグスが多いですが、色のついたカラーテグスもいろいろあります. 作品によっては透明なテグスが目立つこともあるので、カラーテグスで落ち着かせたり、テグスのカラーを生かした作品を作るなど、作品の幅を広げてくれるかもしれません. |
■ナイロン(NYLON) ・・・ テグス素材の定番! | ▲ |
テグスといえばナイロンっていうぐらい、ビーズアクセサリー作りでは定番の素材... ナイロンは、1930年代にアメリカ・デュポン社が絹の代替品として開発したポリアミド(PA:Polyamide)系合成繊維です. この史上初の合成繊維は、「石炭と空気と水からつくられ、鋼鉄よりも強く、クモの糸よりも細く、絹糸よりも弾力性があり、光り輝く繊維」というキャッチフレーズで登場しました. ナイロン(NYLON)という名称のいわれは、(1)大都会の代名詞、ニューヨーク(NY)とロンドン(LON)でヒットするようにとその頭文字から、(2)発見者カローザスがニヒル(nihil)だったことから名付けられたニックネーム"ニル(NYL)"と企業名デュポン(dupON)から、など諸説あるようです. ナイロンの開発者 ウォーレス・カローザス(Wallace Humme Carothers) 1・2 ■ナイロンの特徴 ・適度な伸びがあり、しやなやかさ、柔らかさをもつ ・結束強度(結び目の強さ)に優れている ・クセがつきやすい −巻きクセをとり、伸ばしたものを使用した方が作品はキレイに仕上がります ・吸水性がある(吸水により強度が下がり、切れやすくなる)−湿度の高い所での保管は避けて! ・日光・紫外線により劣化する ・ショック(衝撃)を吸収する ・キズが入りやすく、表面に少しでもキズができるとその部分の耐久性が大幅に低下する ・他素材に比べ、比較的安価 最近はナイロンの弱点を克服した、フッ素コーティングなどの新加工を施したナイロンテグスも出てきています. |
■フロロカーボン(Fluoro carbon) | ▲ |
テグスにもこだわるビーダーの間で取り上げられるようになった素材のひとつ. フロロカーボンはフッ素(Fluorine)と炭素(Carbon)の化合物の総称で、テグスの素材としては、ポリフッ化ビニリデン(Poly vinylidene fluoride = PVDF)というフッ素系樹脂のことを指し、バイオリン・ギターの弦、手術用縫合糸などいろいろに使われている素材です. ■フロロカーボンの特徴 ・ナイロンとほぼ同程度の強度をもつ(*) ・結束強度(結び目の強さ)はナイロンより弱い ・伸びが少なく、ナイロンよりは硬めで、張りがある ・不純物の析出が少ない ・吸水性なし(吸水率0) ・紫外線により劣化しない ・ナイロン以上にクセがつきやすく、一度クセがつくと回復は容易ではない ・摩擦に弱く、滑りやすい −結び目はナイロンよりほどけやすい フロロカーボンはナイロンよりも少し張りのある素材ですが、モチーフなどを作ったときの仕上がり感はナイロンテグスとあまり変わらないかもしれません. (*)ナイロンより強度は高いと言われることが多いフロロカーボンですが、それは水に浸かった場合の強度のこと. 一般的には、乾燥時の強度はフロロカーボンよりナイロンの方が高いです. ■伸縮性 ・ナイロン 力がかかった時からすぐに伸び始め、ずーっと伸び続けて最後に切れる ・フロロカーボン 力がかかっても、最初は伸びずに踏ん張り、その踏ん張りが限界に達すると急に伸びて 最後に切れる. 使用感を考慮した場合には、初期の伸びが少ないフロロカーボンはリングなどぴったりフィットするアクセには向かないとも言えますし、吸収性がない特性から、水に触れやすい指につけるリングに向いている素材とも言えます(^-^; ■フロロナイロン(FLUORO NYLON) ナイロン樹脂とフッ素樹脂(フロロカーボン)の複合素材、フロロナイロンというものもあります. ナイロンの高強度、フロロカーボンの優れた耐水性を併せもち、糸に張りがあり、滑りやすい素材です. |
■ポリエステル(Polyester) | ▲ |
テグスにもこだわるビーダーの間で取り上げられるようになった素材のひとつ. ビーダーの間では、ホンテロン(Hontelon)という名称で知られていますね. 石油を原料とするプラスチックのポリエステル(Polyester)はポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate,通称:PET)の合成繊維です. ■ポリエステルの特徴 ・伸びがほとんどなく、硬く、張りがある ・直線を維持する力が高い=クセがつきにくい −多少クセがついても、引っ張れば真っ直ぐになります ・吸水性なし(吸水率0) ・紫外線により劣化しない ・摩耗に強い 透明の細いワイヤーという言葉があう素材です. へたりがなく、テグスの先端でビーズをすくうのがラクなぐらい硬めの素材のため、モチーフなどを作るとかっちりとした仕上がりを実現できますが、伸びがほとんどないため、指にぴったりフィットさせるリングのような作品には向きません. ちょっとしたクセがついても、引っ張るだけでまっすぐになるので、モチーフ製作にはいいかもしれません. |
■ポリエチレン(PE:Polyethylene) | ▲ |
釣りの世界でのテグス(ライン)の三大素材は、ナイロン、フロロカーボン、そしてポリエチレンだそうで、上で取り上げたポリエステルは入っていません. 石油を原料とするプラスチックのポリエチレンテグスは、複数の高分子ポリエチレン樹脂の糸を編んで作られています. ■ポリエチレン(PE)の特徴 ・細く、とても強い. ただし急激なショックには弱い. ・伸びがほとんどない ・柔らかく、とてもしなやか ・クセはつきにくい ・摩擦に弱く、滑りやすい ・結び目の強度はとても弱い −結び目の強度が弱いため、アクセに使うときは結ぶ方法に要注意 ・熱に弱い その特性のためか、ビーダーの間ではあまり取り上げられないポリエチレン(PE)テグスですが、うまく使えば、作品の幅を広げる可能性も秘めているかもしれません. |
■素材比較 | ▲ |
上に挙げた4つの素材=ナイロン,フロロカーボン,ポリエステル,ポリエチレン(PE)=の簡単比較表を作ってみました. 素材それぞれにいろいろな特性がありますが、どれも見方によって短所とも、長所とも受け取れる特性なので、状況・作品に応じて使い分けれるといいですよね. ...とはいえ、ひとつしか揃えないのであれば、やはり定番で手軽なナイロン製をオススメします. |
ナイロン | フロロカーボン | ポリエステル | PE(ポリエチレン) | |
硬さ | 柔らかい | ナイロンより硬め | 硬く、張りがある | とても柔らかい |
伸縮性 | あり | ややあり | ほとんどなし | ほとんどなし |
糸の強さ | 強い | 普通 | 普通 | とても強い |
結び目強さ | 強い | やや弱い | やや弱い | とても弱い |
吸水性 | あり | なし | なし | なし |
比重 | 普通 | やや重い | 軽い | 軽い |
耐摩耗性 | 表面が柔らかく キズがつきやすい |
表面が硬く キズがつきにくい 摩擦熱には弱い |
表面が硬く キズがつきにくい |
擦れに弱い 摩擦熱に弱い |
耐候性 | 紫外線に弱い | 紫外線に強い | 紫外線に強い | 紫外線に強い |
価格 | 安い | 高い | やや高い | 高い |
■伸びるテグス | ▲ |
伸縮性のあるゴムコード. テグス6号〜8号程度の太さのものが多いため、ビーズによっては通らない/通りにくい場合もあります. いろいろな名称で売られていますが、ウレタンまたはビニール素材の、透明のものが多いです. ・オペロン シルキーな色合いのポリウレタン弾性繊維の伸縮性のあるゴム(コード). 糸のようにしなやかです. ・モビロン ポリウレタン製の透明な伸縮性のあるゴム(コード). ・アンタロン ポリウレタン製の伸縮性のある透明なコード.. ・テビロン ポリ塩化ビニル繊維の、伸縮性のある透明なゴムのコード. ・クリアコード/(ポリエステル)エストラマー ポリエステル・エストラマー製の透明な伸縮性のあるゴム(コード). |
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